2022年12月02日

日常的風景から 日本文化を読み解く

日常的風景から 日本文化を読み解く


『見立て日本』 松岡正剛 著
角川ソフィア文庫 本体2000円+税


 高校2年の1967年、学校図書館に「the high school life」という月刊のタブロイド紙が置かれた。表紙は大きく飾られた宇野亜喜良のイラストレーション。地方都市の高校生は、「厳粛」な学校図書館でこんなものを読んでいいのかと周りを気にした。横尾忠則、寺山修司、澁澤龍彦、稲垣足穂といった突出した人たちの演劇、文学論が毎月載っていた。これを理解できる高校生がいるのかと驚き、都会と地方では時間軸が違っているのだと思うほど、ハイレベルすぎる紙面だった。

 大学生の時、書店で「表紙買い」したくなる雑誌を見つけた。「遊」の創刊号だ。この雑誌は宗教から科学、現代思想、音楽、宇宙、文学など多様なジャンルを扱っていた。どの分野も私の脳には歯ごたえがありすぎた。貧乏学生には高価だったので、松岡正剛の連載「自然学曼荼羅(まんだら)」だけ立ち読みを続けていた。松岡は「遊」の編集者だった。「the high…」の編者も彼であることを後に知った。

 その後彼は編集工学者として活動。無料書評サイト「千夜千冊」を開設。民主党政権時代にスタートした「クールジャパン事業」のクリエイティブエディターを務めた。最近では隈研吾が設計した文化複合施設の館長になっている。その活躍ぶりから「知の巨人」と呼ばれたりもする。

 そんな彼が、大衆週刊誌「週刊ポスト」の巻末グラビアページに2011年から2年間「百辞百物百景」という連載を執筆した。太田真三カメラマンが21世紀の日本を切り取った写真に、900字ほどの日本文化エッセイを重ねるというものだった。立ち寄った定食屋に置いてあった「ポスト」でこの連載を見た。なんとなく連載が終わればきっと単行本になると予感した。

 予想は10年間裏切られたが、2022年秋に文庫本という形で刊行された。文庫は連載の100回に新しく20のキーワードが追加された。タイトルは『見立て日本』に変わった。定食屋で見たページで記憶に残っているのは、登録抹消した小型飛行機が田んぼの中の低い鉄塔に展示されている写真。松岡はこれを案山子(かかし)に見立て、案山子とはヤマダノソホドという全知神のことと「古事記」を引用。そして一神教は最高神が全知神だが、日本では全知神はむしろ脇役で、スマホ万能検索時代でも本当の物知りは脇役にいるはずと現在をチクリと刺していた。

 ふとした風景に日本文化の面影を見つける、正剛流の「見立て」技がぎゅっとつまった厚さ2・5㌢の文庫本。







この記事へのコメント
 心からお悔やみ申し上げます。 

 ≪…日本文化の面影を見つける…≫で、数学の基となる自然数(数の言葉ヒフミヨ(1234))を大和言葉の【ひ・ふ・み・よ・い・む・な・や・こ・と】に託す。
 「初めて語られた科学と生命と言語の秘密」に出てくる用語【ヴィークル】に[絵本]と[歌謡の本歌取り]を捧げる。

  もろはのつるぎ (有田川町ウエブライブラリー)


  「愛のさざなみ」の本歌取りで

  [ i のさざなみ ]

この世にヒフミヨが本当にいるなら
〇に抱かれて△は点になる
ああ〇に△がただ一つ
ひとしくひとしくくちずけしてね
くり返すくり返すさざ波のように

〇が△をきらいになったら
静かに静かに点になってほしい
ああ〇に△がただ一つ
別れを思うと曲線ができる
くり返すくり返すさざ波のように

どのように点が離れていても
点のふるさとは〇 一つなの
ああ〇に△がただ一つ
いつでもいつでもヒフミヨしてね 
くり返すくり返すさざ波のように
さざ波のように

[ヒフミヨ体上の離散関数の束は、[1](連接)である。]
            (複素多様体上の正則函数の層は、連接である。)

数学の基となる自然数(数の言葉ヒフミヨ(1234))を大和言葉の【ひ・ふ・み・よ・い・む・な・や・こ・と】の平面・2次元からの送りモノとして眺めると、[岡潔の連接定理]の風景が、多くの歌手がカバーしている「愛のさざなみ」に隠されていてそっと岡潔数学体験館で、謳いタイ・・・


 「八木節」(江利チエミ)の本歌取りで

 [ ヒフミヨは△廻し□なる ]

アー
ちょうと出ました 三角野郎が
四角四面の櫓の上で
音頭取るとは 恐れながら
しばし御免を こうむりまして
何か一言 読みあげまする
稽古不足で覚束ないが
平にその儀は お許しなされ
許しなされば ヒフミヨかかるで
オーイサネ

大和言葉のヒフミヨは
度胸すぐれた△野郎
〇泣かせの回転体で
取っておさえて三点ふかせ
今宵かぎりと〇から消える
ここにあわれはπと一よ
〇の形見のnを背負い
ひふみよいむなやこと
オーイサネ

聞いておくれよのろけじゃないが
逢うた初めはひと目で惚れて
思い込んでる〇の一
昼はまぼろし夜は夜で夢に
見ると云うても覚めればπ
一生他人にならないように
早いところで都合をつけて
そわせたまえや 〇と△
オーイサネ
 

 「北空港」の本歌取りで

  [ 円周率 ]  

〇の一 □に逢えて
カオスな一に 灯りがともる
〇と▢は一緒だよ もう引っ付いている
なぞり逢おうよ
カオスを捨てて 時間さえ捨てて
i(アイ)が飛び立つ 一のi(アイ)

〇の一 □に惚れて
ヒフミヨ渦に πが見える
信じてもいいですね ヒフミヨ放射だけ
数え尽くすわ 
カオスを捨てて 時間さえ捨てて
i(アイ)が飛び立つ 一のi(アイ)

〇の一 舞い散る数も
ヒ(〇・π)とヨ(□・i⁴)で 咲く花になる
どこまでも一緒だよ もう離れずに
夢(√・平面)を探そう
カオスを捨てて 時間さえ捨てて
i(アイ)が飛び立つ 一のi(アイ)

 大和言葉の【ひ・ふ・み・よ・い・む・な・や・こ・と】へのエールとしタイ・・・

 自然数(数の言葉ヒフミヨ(1234))のキュレーション的な催しがあるときの[応援歌]になるといいなぁ~
Posted by 「比叡おろし」(汚れちっまた悲しみに…) at 2024年09月15日 15:19
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