2021年08月26日

横書き文章の読点符号に終止符





 いつも文章を書いている時に気になるのが、読点の「、(テン)」をどの場所に打てばいいかである。自分の文章は読点が少し多いかなと思いながらも、読み間違いが起きないようにと、ついつい。国語の時間にも、読点の打つ場所をきちんと教わった記憶がない。

 芥川龍之介は1925(大正14)年に「僕等は句読点の原則すら確立せざる言語上の暗黒時代に生まれたるものなり」と書いているが、今も確立されていない気がする。丸谷才一のように「たとえ句読点をすべて取り払ってもなほかつ一人立ちしてゐる頑丈な文章を書く」ことと言われれば、素人は怖気(おじけ)づくだけだ。

 読点には、もう一つ疑問点があった。リタイア前は役所の職員とも仕事を一緒にしていた。1990年代からワープロで文章を書くことが多くなった。ある日、私の文字打ち画面を見て、役所の知人が「横書きの読点は『、』じゃなく『,(コンマ)』だよ」と。「日本語の文書に欧米の符号を使うのは変」と反論すると、「公用文はそうなってる」との答えだった。

 職場にあった横書きの自治体例規集を見ると、なるほど読点が「,」になっていた。しかし、私の違和感は消えなかった。通信社の用字用語集では、横書きの読点に「,」は使わないと書いていたし、公用文を書いているわけではなかったので「、」を使い続けた。

 最近、文化審議会国語分科会の小委員会が、横書きの公用文は一般に広く使われている「、」を用いるとのルールを承認したと、新聞記事で読んだ。70年ぶりの改定だそうだが、私のモヤモヤした気分に、読点いやピリオドがようやく付いた。



  


Posted by kotota at 14:39Comments(0)読点