2024年12月27日
奄美とメキシコによく似た舞がある

メキシコに住む二女が、地域の祭典をSNSにアップした。「サンマルコス祭」といって3週間開かれる大規模なもの。メキシコ最大級の祭とも言われ、地元や同国の人々だけでなく、外国からも観光客が遊びにくる。人口90万人ほどの穏やかな街に、期間中の来場者は800万人を超える。
祭りの期間、パレード、音楽コンサート、ダンス、芸術展、バルーンフェスティバル、サーカス、闘牛、打ち上げ花火などのアトラクションから、家畜の展覧会、地元の食品や工芸品の展示などのイベントで賑わう。日本パビリオンも設置され、和太鼓などの伝統音楽の演奏も披露されており、「小さな万博」のような賑わいぶりという。
娘が映した動画は、無料のお祭り広場の舞台の模様だ。ソンブレロを被った男性らが、ギターとバイオリンを奏でるマリアッチ。カラフルな衣装で男女が躍るハラベ・タパティオ。そんな中、素朴な面を付けた踊りがあった。円錐型の帽子の縁にはカラフルな色の飾り、衣装は薄い生地の白いシャツとズボン。棒か杖のようなものを手に、ステップを踏む仕草があった。
その姿や所作が、県の民俗芸能祭りで見た奄美の加計呂麻島の「諸鈍シバヤ」を演じる男衆にそっくりなのに驚いた。違いは男衆の絹の上着の色が黒いことくらいだ。
遠く離れた地域によく似た文化が見られるのには「なんらかの条件さえ満たされれば、必然的に生まれる」という普遍人類学的考えがある。しかし、太平洋を挟んだ両地域での酷似した舞いは、遠い昔に漂流でたどり着いた人によって伝えられもの、との途方もない考えに私は軍配を上げる。