2022年10月26日
偽装イベントで 市民に近づく「教団」

鹿児島県では「ピースロード」の役員就任や後援団体問題で、旧統一教会と政治家、行政との関係が8月上旬に大きな問題になった。
大学に通っていた1970年代初め、キャンパス内で「聖書を勉強しませんか」と声をかける人たちがいた。原理研究会の学生だった。当時は「彼らは勝共連合」と言えば、近寄る学生はほとんどいない時代環境だった。80から90年代には霊感商法、合同結婚式がテレビや週刊誌で報じられ、旧統一教会がうさんくさいカルト的な教団であることが知られていた。その後、教団への世間の関心は薄れていた。
それが安倍晋三元首相の銃撃事件で、知らないうちに活性化していた政治家と教団の「蜜月」が明らかになった。保守政治家が旧統一教会の選挙協力をアテにし、教団は政治家を広告塔にし活動にお墨付きを得ていた。
反社会的活動を続ける教団のターゲットは政治家だけではない。「ピースロード」の共催に、YSP鹿児島という見慣れない団体名があった。YSPとは世界平和青年学生同盟の略称、教団の関連団体だった。彼らは「身元」を隠しボランティアを装い、SDGs、地域清掃、子ども食堂といったイベントで市民に近づいていた。
ネットで調べると、県内の保育園、ダンススタジオ、食のボランティア団体などがイベントに参加している。学生には清掃活動や異文化交流を呼びかけ、活動後はYSP鹿児島のライングループに加入させている。信者獲得の新たな手口だろう。被害者をこれ以上出さないためにも、報道機関は教団の偽装イベントの危険性も警告してほしい。
YSPはヤマハモーターサイクル・スポーツ・プラザの頭文字でもあるので混同にご注意を。